研究内容
ミッション
ヒトの高度な知的活動を科学・工学の両側面からモデリングし,それを支える情報システム研究を通じて,ヒトとコンピュータの双方を賢くするという両輪の実現を目指しています.
キーワード
工学的側面
- 人工知能,知識工学
- HCI,知的インタフェース
- 知的学習支援システム
- 協調学習・議論支援システム
- マルチモーダル情報処理
- ヒューマンセンシング
- セマンティックWeb,オントロジー
科学的側面
- 知性モデリング,知識科学
- 対話理解,コミュニケーション支援
- アウェアネス支援
- 協調学習
- メタ認知,メタ学習
- 組織学習
- 思考スキル
研究紹介
暗黙的で目に見えにくい学習者の思考活動を活性化する学習支援システムを開発しています.その一環として,創造的議論への準備性向上を目的とした思考整理活動支援に取り組んでいます.本研究では,他者に自分の考えの背後にある意図を伝える力(意図共有スキル)への意識を高めるために,「問い」と「答え」のピラミッド構造で表現される思考内容に応じて学習者の考えを深掘りする適応的な問いを提示するシステムを提案しています.例えば,「実践の目的は何か?」という問いに対して,「実践仮説」や「実践手順」を考えさせる問いを提示することで,思考の整理と深化を支援します.長期的な実践利用の結果,意図共有の学習に対して肯定的な効果があったことを確認しています.

さらに,このシステム(Forest)を基盤として,研究諸活動(論文読解,論文執筆,発表シナリオ設計,資料作成,議論内省活動など)を高次思考スキルの発揮・鍛錬の場とする一連の学習支援システム群(Forest Suites)の開発を進めています.

ネットワークを介して複数人で行う協調学習や議論では,対面場面で得られる多くの情報が失われやすくなります.そこで本研究では,センシング機器から取得される言語情報や非言語情報など,複数のモダリティを統合した情報(マルチモーダルインタラクション情報)を利活用できる学習支援システムの開発・運用・分析プラットフォームを構築しています.
本プラットフォームは,開発者・利用者・分析者のそれぞれを支援する環境を備えています.開発者は,各種センシング情報を取捨選択しながら,独自の支援ツールを柔軟に開発できます.例えば,各参加者が誰をどの程度見ているかを計測できるビデオチャットや,どのようなコンテンツを確認しているかを把握できる共有画面ツールなどを実装できます.利用者は,開発された支援ツールを学習や議論の目的に応じて切り替えながら対話できます.さらに,分析者に対しては,議論時に生じるマルチモーダルインタラクション情報を分析するための環境も提供しています.

このプラットフォームに基づく知的議論支援システムの一例として,オンライン議論で計測されたマルチモーダルインタラクション情報に基づき,議論の状況を段階的に診断するエージェントと,各状況に応じた適応的な助言を提示するエージェントからなる議論支援フレームワークを提案しています.議論状況を捉える診断ルールと,「どの状況で,いつ,誰に,どのような助言を与えるか」を定める助言提示ルールをあらかじめ設定することで,議論中の適応的介入を実現する枠組みとなっています.

学習支援システム上の教材を構成するコンテンツが内包する意味内容(セマンティクス)を情報システムが解釈・処理するためのシステム設計方法論や,これに基づく適応的学習支援に取り組んでいます.
この一例として,外界から観測できないヒトのメタ認知的思考活動(考えていることを考える活動)の意味内容について,視線行為と思考操作行為に基づき解釈を与えるシステム設計のフレームワークを提案しています.メタ思考の対象となる思考(ベース思考)が,アプリケーションを構成する部品(テキストボックスやパネルなど)に外在化されることを前提に設計された思考外化アプリケーションがあることで,頭の中のメタ認知的活動(モニタリング・コントロール)の一端が,アプリケーション上のベース思考部品を対象とする視線行為と,キー入力などの思考操作行為に表れ,これらの行為系列にメタ思考レベルの解釈を与えることができないか?という着想に基づく枠組みとなっています.

また,学習者の多様な興味に追従したオープンエンドな学びの支援を指向して,セマンティックWeb技術と生成AI技術を融合した学習ドメイン特化型の大規模学習リソースの構成法,およびこの学習資源に基づく探究的学習支援システムの開発を進めています.例えば以下のシステムでは,学習者が興味を持ちながら学んでいる歴史上のトピックに対して,そのトピックを深める適応的な「問い」を検討したり,史実間のさまざまなつながりを確認できるビュー,例えば同時期に起きたイベントや,その年表,史実に関わる人物・組織間の相関図などを確認しながら,様々なトピックの探索学習を進めることができるインタフェースを備えています.

組織的な知識創造活動の文脈では,構成員が日々の活動を通じて獲得する知見(個人知)を個人内に留めず,組織として再利用可能な知(組織知)へと洗練し,さらに個人へ還元する循環を成立させることが大切です.一方で,組織にとって価値ある知の多くが個人の経験や判断に基づく暗黙知であり,明示的な形で整理・形式化がされにくいという課題があります.このような暗黙知を組織知へと高めてゆく一連の活動を支える仕組みを検討しています.
例えば,共体験の場の一つである「議論」を起点に,暗黙的な個人知を組織知へと高めてゆく一連の活動を支える組織知醸成支援システムを開発しています.本システムは,議論中に暗黙知が発揮された局面を手掛かりとして,発言の背景にある前提や判断の外化を促し,外化された知を組織内で再利用可能な単位へ整理・蓄積するための手立てを提供しています.議論で生じる知の種を偶発的な気づきに留めず,継続的に組織知へ転換する基盤として研究室内で実践利用を進めています.

ポスター
受賞
学術論文
- 教育システム情報学会 論文賞教育システム情報学会誌, (2022) [受賞者:林佑樹, 杉本葵, 瀬田和久]
- 教育システム情報学会 論文賞The Journal of Information and Systems in Education, (2019) [受賞者:Natsumi MORI, Yuki HAYASHI, and Kazuhisa SETA]
- 創設30周年記念特集論文 最優秀賞人工知能学会論文誌『人工知能学会設立30周年記念論文特集』, (2016) [受賞者:岡田将吾, 松儀良広, 中野有紀子, 林佑樹, 黄宏軒, 高瀬裕, 新田克己]
国際会議
- Outstanding Paper AwardProc. of EdMedia + Innovate Learning 2024, Brussels, Belgium, (2024) [受賞者:Tomoki ABURATANI, Kazuhisa SETA, and Yuki HAYASHI]
- Best Poster AwardProc. of 26th International Conference on Computers in Education, Manila, Philippines, (2018) [受賞者:Daiki MUROYA, Kazuhisa SETA, and Yuki HAYASHI]
- Best Overall Paper AwardProc. of 25th International Conference on Computers in Education, Christchurch, New Zealand, (2017) [受賞者:Yuki HAYASHI, Kazuhisa SETA, and Mitsuru IKEDA]
- Nomination for Best Student Paper AwardProc. of 25th International Conference on Computers in Education, Christchurch, New Zealand. Nomination for, (2017) [受賞者:Emmanuel AYEDOUN]
- Poster AwardProc. of 18th International Conference on Artificial Intelligence in Education , Lecture Notes in Computer Science (LNCS), Wuhan, China, (2017) [受賞者:Emmanuel AYEDOUN, Yuki HAYASHI, and Kazuhisa SETA]
- Best Poster AwardProc. of 11th International Conference on Knowledge Management, Osaka, Japan, (2015) [受賞者:Emmanuel AYEDOUN, Yuki HAYASHI, and Kazuhisa SETA]
- Nomination for Best Student Paper AwardProc. of 15th International Conference on Computers in Education , IOSPress, Hiroshima, Japan. Nomination for, (2007) [受賞者:Yuki HAYASHI, Tomoko KOJIRI, and Toyohide WATANABE]
国内発表(研究会)
- 若手奨励賞人工知能学会 第103回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-103-14, (2025) [受賞者:松浦碧]
- 研究会優秀賞人工知能学会 第100回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-100-19, (2024) [受賞者:油谷知岐, 瀬田和久, 林佑樹]
- 研究会優秀賞教育システム情報学会 2020年度特集論文研究会, (2021) [受賞者:正野敦也, 林佑樹, 瀬田和久]
- 研究会優秀賞人工知能学会 第91回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-C003-04, (2021) [受賞者:Emmanuel AYEDOUN, Yuki HAYASHI, Kazuhisa SETA]
- 若手奨励賞人工知能学会 第86回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-B901-05, (2019) [受賞者:油谷知岐]
- 若手奨励賞人工知能学会 第80回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-B507-03, (2017) [受賞者:Emmanuel AYEDOUN]
- 研究会優秀賞教育システム情報学会 2017年度第6回研究会, (2018) [受賞者:森夏実, 林佑樹, 瀬田和久]
- 研究会優秀賞人工知能学会 第82回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-B509-06, (2018) [受賞者:杉本葵, 林佑樹, 瀬田和久]
国内発表(全国大会ほか)
- 大会奨励賞第50回教育システム情報学会全国大会, B2-1, (2025) [受賞者:油谷知岐]
- 大会奨励賞ノミネート第47回教育システム情報学会全国大会, E3-1, (2022) [受賞者:松浦碧]
- 大会奨励賞第46回教育システム情報学会全国大会, F5-2, (2021) [受賞者:奥津暁夫]
- 優秀発表賞2021年度 JSiSE学生研究発表会(関西地区), (2022) [受賞者:松浦碧]
- 優秀発表賞2021年度 JSiSE学生研究発表会(関西地区), (2022) [受賞者:岡本花奈乃]
- 優秀発表賞2020年度 JSiSE学生研究発表会(関東地区), (2021) [受賞者:奥津暁夫]
- 優秀発表賞2020年度 JSiSE学生研究発表会(関西地区), (2021) [受賞者:清水俊匡]
- 若手奨励賞人工知能学会 第84回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-B507-03, (2018) [受賞者:Emmanuel AYEDOUN]
- 優秀発表賞2018年度 JSiSE学生研究発表会, (2019) [受賞者:正門和己]
- 大会奨励賞第42回教育システム情報学会全国大会, A2-1, (2017) [受賞者:森夏実]
- 優秀発表賞2017年度 JSiSE学生研究発表会, (2018) [受賞者:松岡知希]
- 優秀インタラクティブ発表賞HAIシンポジウム2016, A-2-5, (2016) [受賞者:岡田将吾, 大竹圭彦, 中野有紀子, 林佑樹, 黄宏軒, 高瀬裕, 新田克己]
- 大会奨励賞第41回教育システム情報学会全国大会, G4-1, (2016) [受賞者:杉本葵]
- 学生奨励賞第29回人工知能学会全国大会, 1G2-OS-08a-4, (2015) [受賞者:Corentin JOUAULT]
- 研究会優秀賞人工知能学会 第76回 先進的学習科学と工学研究会, SIG-ALST-B503-07, (2016) [受賞者:Corentin JOUAULT, Kazuhisa SETA and Yuki HAYASHI]
- 大会奨励賞第39回教育システム情報学会全国大会, D5-4, (2014) [受賞者:林佑樹]
- FIT奨励賞第13回情報科学技術フォーラム , RK-003, (2014) [受賞者:石井亮, 小澤史朗, 小島明, 中野有紀子, 林佑樹, 大塚和弘]
- 全国大会優秀賞第28回人工知能学会全国大会, 4B1-2, (2014) [受賞者:二瓶芙巳雄, 林佑樹, 中野有紀子]
- 優秀ポスター発表賞2014年度 JSiSE学生研究発表会, (2015) [受賞者:谷口博紀]
- 優秀発表賞2014年度 JSiSE学生研究発表会, (2015) [受賞者:アイエドゥン・エマヌエル]
- 優秀発表賞2014年度 JSiSE学生研究発表会, (2015) [受賞者:光城暢央]
- 全国大会優秀賞第27回人工知能学会全国大会, 4J1-OS-23-5, (2013) [受賞者:林佑樹, 小川裕史, 中野有紀子]
- 全国大会学生奨励賞情報処理学会 第76回全国大会, 6ZB-8, (2014) [受賞者:名手郁人, 林佑樹, 小尻智子]
- 発表会優秀賞2010年春JSiSE学生研究発表会, (2010) [受賞者:青木政人]
- 連合大会奨励賞平成20年度電気関係学会東海支部連合大会 講演論文集, O-518. 連合, (2008) [受賞者:林佑樹, 小尻智子, 渡邉豊英]




